こんにちわ。山の手調剤薬局の熊谷です。
先日、担当している幼稚園、小学校の空気・照度検査に行ってきました。
学校薬剤師業務の一環で、毎年冬シーズンに検査をしています。
そもそも学校薬剤師って何??と思う方も多いと思います。
私も薬剤師になるまで知りませんでした。
大学以外の学校では、『学校薬剤師』の設置が義務付けられています。
学校環境衛生の維持・管理、保健指導が主な仕事です。
春夏シーズンは、水道水・プール水の水質検査を行ったりもします。
『学校薬剤師』が学校に設置されるようになったきっかけは
昭和3年に、小樽市の学校で、児童にアスピリンと間違えて
水銀を服用させてしまい、亡くなってしまう事例がありました。
それから薬の専門家を置くべきだという声が高まり
昭和4年に、全国で初めて、小樽市の学校が学校薬剤師を委嘱しました。
その流れが全国に波及していき
昭和33年に学校保健法が制定交付され、現在のような形になっていきました。
話はそれましたが、まず照度検査では、デジタル照度計(画像あり)を使います。
教室内の黒板、机上面をそれぞれ9箇所ずつ、点灯時・消灯時測定します。
明るさを表す指標では、最低ラインが300ルクスで、500ルクス以上あることが望ましいとされています。
また、児童生徒の視界の中に、まぶしさ(グレア)がないかもチェックします。
明るいとよく見えますが、明るすぎると、不快に感じたり、見え方の妨害になります。
基準値を外れると、目の疲労の原因になったり
学習効果向上の妨げになることもあるため、注意が必要です。
例えば、暗くなった光源がある場合は、蛍光灯の清掃や交換などの指導助言をしたり
まぶしさがある場合は、カーテンの適切な使用について指導したりします。
次に、空気検査は、ガス採取器(画像あり)を用いて検知管法(画像あり)で行います。
項目としては、二酸化炭素濃度とホルムアルデヒド濃度になります。
教室内の二酸化炭素濃度は1500ppm以下であることが望ましいとされています。
基準値を超えている場合は、適切な換気回数・方法を指導します。
二酸化炭素濃度が高いと、空気中の汚染物質の増加につながります。
昨今のコロナ対策のためにも重要な指標となります。
教室の容積、生徒数が分かれば、ある程度の必要換気回数は計算で出すことができます。
次に、ホルムアルデヒド濃度は、0.08ppm以下であることとなっています。
ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群などの原因となります。
基準値を超えた場合は、その発生の原因を究明し、換気を励行します。
二酸化炭素、ホルムアルデヒド以外に、温度、湿度なども測定します。
室温をきちんと管理しないと、体調を崩す原因となります。
湿度が低い状態が続くと、感染症にかかりやすくなったり
皮膚疾患、呼吸器疾患を増悪させたりしてしまいます。
必要に応じて、エアコンや加湿器などの適切な使用方法を指導助言したりします。
以上、本当にざっくりですが
学校薬剤師の仕事の一部を紹介させていただきました。
意外と知られていませんが、学校の児童生徒が安心して生活できるよう
薬剤師が裏で微力ながらがんばっています。
これからも薬局・薬剤師の色々な仕事を発信していきます。
次回はスポーツファーマシストについて書きたいと思います。